刑事裁判のニュースなどでよく耳にする「執行猶予」。
「懲役○年、執行猶予○年」という表現を見て、「結局、何年以下なら執行猶予が付くのだろう?」と疑問に思ったことがある人も多いでしょう。
結論から言えば、日本では原則として「懲役3年以下」の場合に、執行猶予を付けることができます。
しかし、ここで注意しなければならないのは、「3年以下=自動的に執行猶予がつく」わけではないという点です。
法律上の基本ルール
日本の刑法では、執行猶予について次のように定められています。
裁判で言い渡される刑が
・懲役または禁錮で3年以下
・あるいは罰金刑
である場合に、裁判所は執行猶予を付けることができるとされています。つまり、制度上の上限が「3年」なのです。
4年以上の懲役刑が言い渡された場合、原則として執行猶予は付けられません。
この意味で、「3年」という数字は一つの明確な線引きになっています。
「3年以下=軽い罪」という意味ではない
ただし、ここで誤解しやすい点があります。
3年以下だからといって、その罪が「軽い」とは限りません。実際には、傷害罪や詐欺罪、業務上横領など、社会的に重大な犯罪でも3年以下の判決になることはあります。
重要なのは、刑の重さそのものではなく、
社会の中で更生できる可能性があるか
刑務所に収容しなくても再犯を防げるか
という観点です。
つまり、執行猶予とは「罪を軽く見る制度」ではなく、「処罰の方法を社会内処遇に切り替える制度」なのです。
なぜ「3年」という線が引かれているのか
では、なぜ3年なのでしょうか。これは法律的な偶然ではなく、刑事政策上の経験則によるものです。
一般に、懲役が3年を超える場合は、
・犯罪の悪質性が高い
・被害が重大である
・再犯の危険性が高い
と判断されることが多く、社会内での更生よりも、一定期間の身体拘束が必要と考えられます。
一方、3年以下であれば、
・初犯である
・反省が見られる
・被害回復の努力がある
などの事情があれば、社会の中で立ち直らせる方が合理的だと考えられてきました。この線引きが、現在の制度に反映されています。
「3年以下でも執行猶予がつかない」ことは普通にある
もう一つ重要なのは、3年以下でも執行猶予がつかないことは珍しくないという点です。
たとえば、
・前科がある
・同種犯罪を繰り返している
・犯行態様が悪質
・反省が見られない
といった事情があれば、懲役二年でも実刑になることがあります。
つまり、執行猶予は「権利」ではなく、「裁判所の裁量」なのです。
まとめ
整理すると、次のようになります。
日本では、原則として懲役3年以下の場合に執行猶予を付けることができる
ただし、3年以下だからといって必ず執行猶予になるわけではない
判断の中心は「更生の可能性」と「社会内での安全性」
3年という数字は、処罰と更生を分ける実務上の境界線である
執行猶予とは、単に「刑を軽くする制度」ではなく、社会の中で人を立ち直らせるための制度です。
この視点を持つと、判決ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。

