日本語を学んだことのある人なら、韓国語に漢字語が多く含まれていることをご存じでしょう。
たとえば「教育(교육)」や「文化(문화)」といった言葉は、発音こそ違いますが語源は漢字に由来しています。
ところが現代の韓国では、新聞や本を読んでも漢字がまったく出てこないのが一般的です。これは、韓国が1980年代以降に進めてきた「ハングル専用政策」の影響によるものです。
では、北朝鮮ではどうなっているのでしょうか?
この記事では、韓国と北朝鮮における漢字の扱いを比較しながら、その背景と違いについて解説していきます。
韓国(大韓民国):ハングル専用へと移行
韓国では、かつては新聞や書籍に漢字が併用されていました。しかし1980年代に入ると、「誰でも読み書きできる国語を目指す」という方針のもと、教育現場から漢字が急速に排除されていきます。
日常生活ではハングル表記のみ
小学校での漢字教育は廃止(中高での一部任意学習を除く)
新聞・テレビ・教科書も基本はハングルのみ
現在の韓国では、一般人の多くが漢字を読めなくなってきているというのが現実です。
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国):もっと徹底されたハングル主義
北朝鮮もまた、表記としてはハングル(北朝鮮では「朝鮮文字」と呼ぶ)専用を原則としています。しかし、その背景には南とは少し異なる思想的な理由があります。
漢字は「封建時代の遺物」
北朝鮮では、漢字を「封建的・資本主義的な遺物」と位置づけています。つまり、思想的・政治的な観点から漢字を排除する方向が強く押し出されているのです。
そのため、新聞、書籍、教育の現場では漢字は一切使われません。
ただし完全に否定されたわけではないです。
興味深いのは、北朝鮮でも一部の高等教育や専門研究では、古典文学や歴史文献を読むために限定的に漢字教育が行われているという点です。
たとえば、漢詩や儒教経典を読む必要がある文学研究者などに対しては、研究目的で漢字を学ぶことは許容されているようです。
南北の比較まとめ
まとめ:北朝鮮では漢字は基本的に使われていない
結論として、北朝鮮でも基本的には漢字は使われておらず、ハングル専用が徹底されています。
ただし、学術的・限定的な場面では今でも漢字を学ぶことがあります。
韓国に比べても、よりイデオロギー的に徹底された文字政策がとられているといえるでしょう。