私たちが毎日のように接する新聞やテレビの報道は、一見すると「中立的」な立場から事実を伝えているように見えます。
しかし、よく観察すると必ずしもそうではなく、背後にはそれぞれの立ち位置や利害関係が存在します。
これを理解せずに報道を受け止めてしまうと、知らぬ間に「ポジショントーク」に流されてしまう危険があります。
ポジショントークとは何か
「ポジショントーク」という言葉は、金融の世界でよく使われます。
例えば、ある投資家が自分が買った株を有利に売り抜けるために「この企業は将来有望だ」と繰り返し発言する。立場(ポジション)に基づいた発言(トーク)だからこそ、そこには必ず意図があるわけです。
報道の世界も同じです。新聞社やテレビ局は、スポンサーや系列企業、政治的なつながりなど、さまざまな要因によって「どの立場から情報を発信するか」が決まっています。つまり報道とは、本質的に「ポジショントーク」なのです。
メディアの立ち位置を理解する
具体例を挙げてみましょう。
経済系に強い新聞社は、大企業寄りの論調になりやすい。規制緩和や法人税減税には肯定的でも、労働者の待遇改善や再分配政策には慎重。
労働組合と関係の深い新聞社は、社会保障や雇用問題に重きを置き、企業優遇政策には批判的な姿勢をとる。
テレビ局は親会社が大企業グループの一員であることが多く、その系列会社に不利になる報道は控えめに扱われがち。
このように、それぞれの報道には背景があり、完全に「中立」な立場は存在しません。むしろ「どの立場から報じているのか」を理解することが、情報を正しく受け止める第一歩になります。
ポジショントークを見抜く3つの質問
では、どうすればポジショントークを見抜けるのでしょうか? 次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。
誰が利益を得る報道なのか?
報道の内容が特定の政治家、企業、団体に有利に働いていないかを確認します。
逆に誰が損をするのか?
不自然に批判されている対象がないか、あるいは意図的に触れられていない存在はないかを探します。
報じられていない視点は何か?
メディアが取り上げないことこそ重要なケースがあります。他国の報道や一次情報を調べることで、見えなかった部分が見えてきます。
まとめ
報道を鵜呑みにせず、「このニュースはどのポジションから語られているのか?」を常に意識すること。それこそが、偏向報道に惑わされないための最初の防御策です。
メディアを信じるな、ということではなく、メディアの立ち位置を理解して読むことが大切なのです。