最近、「PFAS(ピーファス)」という言葉を聞いたことはありますか?
正直、私もつい最近まで知りませんでした。でもこの物質、実は私たちの生活のあちこちに潜んでいて、しかも“一度体に入ったら出ていかない”、そんな厄介な性質を持っているんです。
しかも、がん、不妊、免疫力の低下、子どもの発育障害…と、健康への影響が世界中で問題視されています。
「なにそれ?そんな恐ろしいものが、今も普通に使われてるの?」
そう思ったあなたへ、今日から少しずつ、PFASのことを一緒に学んでいきましょう。
なぜ“永遠の化学物質”と呼ばれるのか?
PFASは、「有機フッ素化合物」とも呼ばれる人工の化学物質の総称です。
テフロン加工のフライパン、撥水加工のレインコート、消火剤、ファストフードの包装紙
私たちが何気なく使っている便利な製品の多くに、このPFASが使われてきました。
ところがこの物質、自然界でも体内でもほとんど分解されない。
そのため欧米では「Forever Chemicals(永遠の化学物質)」と呼ばれ、深刻な社会問題になっています。
アメリカでは巨額訴訟、日本ではほぼ無関心?
このPFAS、アメリカではすでに巨大企業を相手に数十億ドル規模の訴訟が起きています。
有名な化学メーカー「デュポン」は、フライパンなどに使われる“テフロン”の原料PFOAを長年製造してきました。
一方「3M」は、防水スプレーやカーペット加工に使われるPFOSを開発・拡販してきました。
驚くべきことに、両社はすでに1970年代の時点で「これは体に悪い」と知っていたというのです。
でも、利益を守るためにそれを40年以上隠していた。そして今、その代償として何百億円もの和解金を支払っています。
ところが、日本では、この話題があまり報じられていません。なぜでしょうか?
実は、デュポンや3Mと技術提携し、日本でPFASを製造・流通させてきた企業がいくつもあるからです。
たとえば、
ダイキン工業
AGC(旧・旭硝子)
三井・デュポンフロロケミカル(現在は解消)
これらの企業が、知らず知らずのうちに私たちの身の回りにPFASを広げてきました。
でも、責任を問われることはほとんどなく、今も製品は普通に出回っています。
あなたの体にも、すでにPFASが?
もっと怖いのは、私たちが気づかないうちに体内にPFASを取り込んでしまっているかもしれないということです。
水道水(浄水場でも除去しきれない)
魚介類(特に底魚)
ファストフードの包装紙
ウォシュレットの水(←これは意外ですよね)
PFASは一度体に入ると、数年〜十数年ものあいだ血液中にとどまり続けるという研究もあります。
そして少しずつ、体をむしばむ。
今は何も感じなくても、10年後、20年後に、がんや免疫異常、生殖障害として現れるかもしれない。そんな“時限爆弾”のような存在なのです。
知らなければ防げない
このシリーズでは、これから12回にわたって、PFASについての基本情報から健康への影響、企業の責任、日本の規制の遅れ、そして私たちが今できることまで、分かりやすく紹介していきます。
便利なものには、必ず代償があります。でも、その代償が未来の子どもたちの健康や命であってはいけません。
知らなければ、防げない。知れば、変えられる。
どうか、これからの回も読んでいただき、ご自身とご家族を守る一歩につなげていただけたら嬉しいです。