第4回 食卓にも忍び寄るPFAS—魚、野菜、包装からの内部被ばく

健康問題
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ある日、健康志向の友人がこんなことを言いました。

「最近はオーガニック野菜とか、添加物を避ける食事に気をつけてるんだ」

「でも、包装紙や調理器具から有害物質が入ってくるって知って、正直ショックだったよ」

そう、どれだけ体に良いものを選んだつもりでも、見えない“毒”が別のルートから入り込んでくることがある。

そのひとつが、今日のテーマ、PFAS(有機フッ素化合物)による“内部被ばく”です。

 

えっ、魚にも?野菜にも?—知らずに食べてるPFAS

PFASは、空気中や水中を通じて環境全体に広がる性質を持っています。

そしてそれは、土や水を通じて作物に取り込まれたり、川や海で育つ魚介類に蓄積されたりします。

✅ よく知られている経路:

魚介類(特に底魚・大型魚)
 → 海や川に流れ出たPFASがプランクトン → 小魚 → 大型魚と濃縮される
 → サバ、アジ、カツオ、マグロ、ウナギなどに蓄積されやすい
 → 肝臓や内臓に多く残る傾向あり

野菜・米などの農作物
 → 汚染された地下水や下水処理水を使った農地では、根からPFASを吸収することが判明
 → 特に葉物野菜、イモ類などに移行しやすいという研究も

「自然の恵み」だからといって、安心とは限らない時代になってしまったのです。

 

食品包装紙にも“フッ素コーティング”が?

ファストフード店やコンビニで、こんな包装紙を見たことはありませんか?

ハンバーガーの包み紙
フライドチキンの袋
コンビニのおにぎりシート
耐油加工された紙コップや紙皿

実はこれらには、油を通さないための「フッ素樹脂コーティング」が施されていることがあります。

このフッ素成分が、熱や油と反応してPFASが食品に移行する可能性があるのです。

米国ではすでに、こうした包装資材の規制が進み、マクドナルド、バーガーキング、スターバックスなど大手がPFASフリー包装への切り替えを始めています。

でも、日本ではまだほとんど規制されておらず、製品表示にも“PFAS使用”の記載義務はありません。

 

製造元はどこ?—ダイキン、AGCが支えるフッ素素材産業

こうしたフッ素系コーティング素材を作っているのが、日本の大手化学企業です。

ダイキン工業:かつて米3Mと提携。現在も世界有数のフッ素化学製品メーカー。食品包装用のフィルム材料を供給。

AGC(旧・旭硝子):欧州や国内でフッ素ポリマーを生産。パッケージや電子材料にも応用。

これらの企業は「新PFAS(短鎖型)」への移行を進めているとしていますが、“安全性が確認されていない新しいPFAS”が今も市場に流通しているのが実情です。

 

体に入ったPFASはどうなるの?

PFASは消化されず、体内でゆっくりと血中に取り込まれ、蓄積していきます。

特に、肝臓、腎臓、血液、胎盤や母乳といった“代謝や免疫に関わる重要な器官”にたまりやすいとされています。

そしてその影響は、

発がんリスク(腎臓がん、精巣がん)
ホルモン異常(甲状腺・女性ホルモン)
不妊・発育遅延・低体重出産
子どもの免疫機能の低下(ワクチン効果減少)

など、長期的に重大な健康リスクをもたらす可能性があるのです。

 

じゃあ、どうやって防げばいいの?

すべてを避けることは難しいですが、“リスクを減らす食の選び方”は可能です。

✅ 食品からのPFASを減らすために

大型魚ばかりを頻繁に食べない
 → サバやアジなども安心とは限りません。バランスが大事。

内臓を避ける、加熱する
 → PFASは特に肝臓などに蓄積しやすいため、丸ごと調理の際は注意。

地元の水源が安全かを確認する
 → 地元の井戸水や地下水で育てられた野菜・米を見直す。

“耐油紙”や“撥水包装”を避ける意識を持つ
 → 熱い油モノは、紙から成分が移行しやすいため要注意。

自然素材の容器や包装を選ぶ
 → PFASフリーをうたうメーカーも徐々に登場しています。

 

知っているから守れる

食べ物は命をつなぐもの。でも今や、食べ物そのものより、包む紙や調理に使う道具の方が“毒のルート”になることもある。

そう考えると、ただ「体に良い食事を選ぶ」だけでは、もう足りない時代なのかもしれません。

私たちにできるのは、
「知ること」
「選ぶこと」
「変えていくこと」

そして、未来の子どもたちの食卓が、安心と笑顔で満たされるように、小さな一歩を日々の暮らしの中で積み重ねることなのだと思います。

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