「えっ、お尻から化学物質が体に入るの!?」
そう驚かれるかもしれません。でも、これからお話しするのは、日本人だからこそ気をつけたい、PFASと“ウォシュレット”の関係についてです。
「日本のトイレは世界一」と言われるほど快適で清潔。
でも、その快適さが、もしかすると健康リスクと隣り合わせになっているかもしれないとしたら、あなたはどうしますか?
日本人にとっての“当たり前”が世界では“非常識”
海外から日本に来た観光客が、感動することの一つがトイレです。
ボタン一つで洗浄、温風、除臭までしてくれるウォシュレット。もはや「国民的インフラ」と言っても過言ではありません。
でも、海外の医師の中にはこう指摘する人もいます。
「肛門や陰部の粘膜に、水道水を直接当てる習慣は、欧米ではむしろ警戒される行為です」
なぜか?
皮膚、とくに粘膜は、有害物質を“吸収する経路”でもあるからです。
肛門まわりの皮膚は思ったより“吸いやすい”
人間の皮膚は、外からの異物をブロックするバリアの役割を持っています。
でも、場所によってその厚さや吸収力はまちまちです。
腕や背中 → 厚い皮膚で吸収しにくい
肛門や性器まわり → 薄くて血管が豊富、吸収されやすい
実際に、座薬や膣剤などの医薬品がこうした部位から投与されているのは、吸収率が高いためです。
つまり、ウォシュレットで繰り返し水を当てているということは、“体の中に水の成分を取り込む可能性がある”ということになるのです。
では、PFASは皮膚から吸収されるの?
ここが気になるところですが、実はPFASは「経皮吸収しにくい」とされている一方で、ゼロではないというのが科学界の見解です。
一般的な皮膚からの吸収率は1%未満と低いとされています。
しかし、粘膜や湿った皮膚、傷がある部分では吸収率が高まる可能性があると指摘されています。
そして忘れてはいけないのは、PFASは微量でも体内に蓄積され、排出されにくいという性質があること。
つまり、1回の使用では問題がなくても、毎日、何年も使い続けることで、少しずつ体に蓄積していく可能性があるということです。
PFASは水道水にも含まれている
「でも、うちのウォシュレットはただの水道水だから安心でしょ?」と思われるかもしれません。
ですが、その水道水の中に、すでにPFASが含まれている可能性があるのです。
前回の記事で紹介したように、日本各地でPFOSやPFOAといったPFASが水源から検出されています。
特に気になるのが、PFASを製造している工場の近く。
ダイキン工業の淀川製作所(大阪)
AGC(旧・旭硝子)の千葉工場や鹿島工場
米軍基地周辺(沖縄・神奈川・東京など)
こうした地域では、住民の血液からPFASが高濃度で検出された例もあります。
つまり、「自宅のウォシュレットの水を、肛門に直接あてている」ということは、「PFASを肌や粘膜から取り込むかもしれない行為を、日に何度も繰り返している」という現実につながってしまうのです。
じゃあ、どうすればいいの?
もちろん、今すぐウォシュレットをやめなさい!という話ではありません。
私たちにできる、“現実的な対策”を以下にまとめてみました。
✅ 対策1|ウォシュレットの給水に浄水器を設置する
浄水器といっても、蛇口用だけでなく、ウォシュレットの給水ホースに装着できる小型フィルターも市販されています。
「活性炭+中空糸膜」などPFAS除去性能のあるものがおすすめです。
✅ 対策2|使用頻度と時間を見直す
強すぎる水圧 → 肌のバリアを傷つける
長時間の使用 → 吸収リスクを高める
1日何度も使う方は、「弱め・短時間・しっかり拭き取り」を意識しましょう。
✅ 対策3|肌が弱い方やお子さんは特に注意
アトピーや皮膚疾患がある方、小さなお子さんや高齢者は、肌のバリア機能が弱いため注意が必要です。
時には“濡れティッシュ”や“お湯洗浄”など、別の方法も検討してみてください。
結論:清潔は大事。でも“安全な清潔”を選ぼう
ウォシュレットは、日本が誇る便利な文化の一つです。でも、便利さの裏に潜むリスクを知っておくことは、とても大切です。
目に見えない化学物質が、毎日の習慣の中でじわじわと体に入っているかもしれない—そう考えると、ちょっと背筋が寒くなりますよね。
でも、知ることができた今、私たちは選ぶことができます。
安全な方法で、快適さも健康も両立させる知恵を、少しずつ身につけていきましょう。