消費税のウソとホント—あなたの負担はどこへ消えた?

時事問題
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「福祉のため」と言われて納得してきたけれど…

消費税が導入されたのは1989年、当時は3%。その後、5%、8%、そして現在の10%へと上がってきました。

そのたびに、政府はこう説明してきました。

「少子高齢化に対応するための安定財源が必要です」
「社会保障費を支えるために不可欠な税です」

でも、ふと立ち止まって考えてみてください。

年金は減る一方
医療費の自己負担は増加
子育て支援は不十分
生活は楽になるどころか、どんどん苦しくなっている

いったい、私たちが払ってきた消費税は、どこへ行ってしまったのでしょうか?

 

ウソ①「消費税は福祉のために使われている」

これは半分本当で、半分ウソです。

たしかに、国の予算書では「社会保障目的」として一部は使われています。

しかし、それと同時に、消費税収は別の用途に“置き換え”られる構造があります。

どういうことかというと:

以前は、社会保障費は「所得税・法人税など」から賄っていた

そこへ消費税が導入されたことで、これらを他の用途(例:借金返済や企業支援)に“スライド”して使えるようになった

つまり、消費税が社会保障に充てられる一方で、本来、社会保障に使われていた他の税金が“外された”のです。

結果として、「消費税が社会保障を支えている」という説明は、実質的には“名目だけのすり替え”にすぎません。

 

ウソ②「みんなで平等に負担している」

表面上、消費税はすべての人に同じ10%が課されます。

でも、実際には「何に使うか」「どれだけ負担するか」で大きな差があります。

年収200万円の人が生活費として月15万円を使えば、年間18万円の消費税

年収2,000万円の人が月30万円消費しても、年間36万円の消費税

同じ10%でも、所得に対する負担の重さは桁違いです。

つまり、消費税は「取れるところからより多く取る」公平な税ではなく、むしろ「取りやすいところから確実に取る」逆進的な税なのです。

 

ウソ③「企業もちゃんと消費税を払っている」

これも制度の仕組みを知れば、見え方が変わります。

企業は消費者から預かった消費税を国に納める「納税義務者」

でも、輸出企業は「輸出免税」により、仕入れ分の消費税が還付される

赤字企業も、預かった消費税は問答無用で納税

結果として、大企業は「消費税分を価格に転嫁し、還付までもらえる」ことが多く、最終的な負担は“個人”に集中しているのです。

 

ウソ④「これ以上の税収確保には消費税しかない」

政府や一部メディアは、「財政再建には消費税が必要不可欠」と繰り返しています。

しかし、多くの経済学者や会計の専門家はこう指摘します。

「消費税に頼らなくても、税収を確保する道はある」

たとえば

所得税の累進性を戻す(高所得者に応分の負担を)
株式譲渡益や配当への課税強化(今は最大でも20%)
内部留保への課税や繰越欠損制度の見直し
金融資産課税(富裕層上位5%が資産の50%を保有)
法人税減税の一部巻き戻し(1980年代は40%超だった)

これらは「できない」のではなく、「やらない選択をしている」だけです。

 

本当はこうだった:消費税が果たしてきた“本当の役割”

政府の説明とは裏腹に、消費税が果たしてきた実態としての役割は、以下のようなものです。

社会保障を支える:法人税・所得税の減収を補う穴埋め
平等な負担:低所得層ほど負担が重い
安定財源: “誰にも逃げられない税”として徴収しやすい
企業も負担:実質的には庶民が負担し企業は還付される

消費税は、「国の財政を支えるために、みんなで負担する公平な税」というイメージで定着しています。

しかし、その実態は「一部を助け、一部を苦しめる構造的な仕組み」になっています。

これに対して私たちができるのは

まず「制度の真実」を知ること
周囲と共有し、対話を始めること
「納税者」としての発言権を意識すること

“取られるだけの存在”ではなく、“使い道に口を出す主権者”でありましょう。

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