かつて日本は、「一億総中流社会」と呼ばれていました。
1960~80年代、高度経済成長とともに、誰もが「自分は中流だ」と感じられる社会が実現していたのです。
給料は年々上がり
ボーナスで家電や車を買い替え
子どもは大学に行き、親は年金で老後を過ごす
ところが――
いま、同じような生活を「普通」と思える人はどれほどいるでしょうか?
今の日本は「格差社会」です
最近のデータを見てみると、日本の所得格差や資産格差は年々広がっています。
相対的貧困率(中央値の所得の半分以下で暮らす人の割合):約15%
生活保護受給世帯:過去最高水準
非正規労働者:労働者全体の約4割
実質賃金:30年間ほとんど上がっていない
その一方で、大企業の内部留保は過去最高を更新し、富裕層の金融資産は膨らみ続けています。
なぜ、こんなにも格差が広がったのか?
理由はさまざまですが、“税と社会保障の制度設計”が大きな原因のひとつです。特に重要なのは次の2点です:
1. 「逆進的な税制」
消費税や社会保険料は、所得が低い人ほど負担が重い(=逆進性)
生活のすべてにかかるため、「払わない」という選択肢がない
高所得層や資産家は、消費に対する税負担の割合が少ない
2. 「富裕層・大企業優遇の税制」
所得税は累進課税と言いながら、高所得層は金融資産で逃げ道がある
相続税や資産課税は実質的に“穴だらけ”
法人税は1980年代の40%台から、今では20%台前半にまで引き下げ
一方、消費税は3%→5%→8%→10%と着実に引き上げ
つまり、「取る相手」と「取らない相手」がはっきり分かれているのです。
結果として:格差はこうして固定される
かつては、所得の再分配(税と社会保障)が「平等化」の役割を果たしていました。
しかし今では、
貧しい人 → 所得の多くを税や保険料で奪われ
豊かな人 → 法人化・節税・相続対策でほとんど取られない
企業 → 消費税還付で現金が戻ってくる仕組み
このように、「再分配」が本来の目的を果たさなくなっています。
世界との比較でも日本は“異常”
OECD諸国(先進国)の中で、日本は次の点で異色の存在です。
つまり日本は、「取るべきところから取らず」「取られやすいところから確実に取る」構造で、格差を是正するどころか、むしろ拡大させる方向に働いているのです。
私たちができることはあるのか?
「政治の話は難しい」
「税金のことはよく分からない」
そう思う人が多いのは当然です。
でも、それを理由に放置してきたことで、格差はここまで広がってしまいました。
自分がどれだけ税を払っているかを知る
そのお金がどう使われているかを知る
誰が得をしているかを知る
そして、納得いかないなら「声を上げる」
この一歩一歩が、格差を“当たり前にしない”ための最初の行動になります。