若者が「搾取される側」で終わる社会?
近年、若者の間に次のような感覚が広がっています。
「年金はもらえないと思っている」
「社会保険料を払うだけで将来は不安」
「正社員になっても生活は苦しい」
「子どもを育てる余裕なんてない」
努力しても報われず、未来に希望を持てない。その背景には、税制と社会保障制度の構造的な“搾取モデル”があります。
今回は、なぜ若者世代が一生“搾取される側”に置かれているのか、税と制度の視点から解き明かしていきます。
すべての始まりは「少子高齢化」と「賦課方式」
日本の年金・医療制度は、基本的に「賦課方式」によって成り立っています。
つまり、現役世代が払った保険料が、そのまま今の高齢者への給付に回る仕組みです。
このモデルは、「人口が増えている時代」にはうまく機能します。
しかし現在は…
高齢者:増え続ける(長寿化)
若者:減り続ける(少子化)
医療費:増える
社会保険料:上がる
年金:減る
という逆転構造が起きています。
つまり、「若者は払い手としてだけ存在する社会」になっているのです。
実質的に「一生税金を払うだけ」の人生設計
若者の人生における税と社会保険料の負担をシミュレーションすると、次のようになります。
▶生涯収入の約40%以上が「税と保険料」で失われる
所得税+住民税
消費税
健康保険・厚生年金・介護保険料
間接的な“企業負担分”(本来は給与原資)
→実質的に手取りは6割以下
▶将来の見返りが不透明
年金支給開始年齢:70歳以降になる可能性大
医療や介護の保障も「自己負担増」が前提
出産や教育への支援も“自己責任化”の傾向
つまり、「負担は増え、給付は減り、人生設計が立たない」という三重苦が若者を襲っているのです。
なぜ税制は若者に不利なのか?
その理由は明快です。
選挙で影響力を持つのは高齢者
高齢者の投票率:約60〜70%
若年層の投票率:約30%以下
→高齢者向けの政策が優先される
税制を設計するのは高齢世代の官僚
財務省や社会保障政策の中核にいるのは、40代後半〜60代
自らの世代の利益が最大化されるよう制度設計される傾向がある
「将来世代の声」は政策に反映されにくい
将来にツケを回す政策(国債・社会保険料の先送り)は政治的に“安定”とみなされる
長期的な制度改革は“票にならない”ので、敬遠されがち
若者の「自由」と「未来」を奪う制度
かつての日本では、若者が挑戦し、家を建て、子どもを育て、社会を担ってきました。しかし今はどうでしょうか。
奨学金という名の借金を背負って社会に出る
非正規や低賃金で、生活がギリギリ
結婚・出産を諦める人も増加
自分の親の介護や生活支援まで負担
これらの背景には、税と社会保障制度が構造的に若者に不利な形で設計されているという現実があります。
これでは「夢を見る余裕」すら奪われる
経済的な自由を失えば、人生の選択肢は大きく狭まります。
海外留学や起業など、リスクを取る挑戦ができない
趣味や文化にお金を使えず、生活が味気ない
結婚・出産・子育てに慎重になる
生活保護や支援制度の利用にも“後ろめたさ”を感じる
これは単に「お金がない」だけでなく、社会が若者に「期待」も「支援」もしなくなっているということなのです。