社会保険料というもう一つの“隠れ増税”—気づかぬうちに奪われる手取り

時事問題
この記事は約3分で読めます。

「税金だけが負担じゃない」って知っていましたか?

多くの人が「負担が増えた」と感じるとき、その原因として最もよく挙げるのは「消費税」です。

しかし、実際に私たちの手取りや家計をじわじわと圧迫しているのは、
もうひとつの“見えない増税”――社会保険料の上昇です。

実はこの“保険料”という名前をしていながら、実質的には「税」と同じように私たちの収入から自動的に徴収され、しかも毎年のように“増税”されてきたのです。

 

社会保険料とは?税とは違う「義務」のかたち

まず、社会保険料とは以下のような項目を含みます。

健康保険(医療保険)
厚生年金保険
介護保険(40歳以上)
雇用保険
労災保険(※主に事業者負担)

このうち、給与明細から天引きされる「健康保険料」と「年金保険料」が、私たちの可処分所得を大きく削る存在になっています。

しかもこれは所得税とは別に徴収され、所得税のような「控除」や「還付」がほとんど効かない、まさに“固定された負担”なのです。

 

データで見る「隠れ増税」の実態

たとえば年収500万円の会社員の場合、実効税率は20%未満でも、社会保険料の負担率は15〜18%に達します。

年度 厚生年金保険料率 健康保険料率(例:協会けんぽ)
1997年 約14% 約7.6%
2007年 約16% 約8.2%
2017年 約18.3%(上限) 約10%前後
現在 18.3%で固定中 地域により10%超も

つまり、ここ20年ほどで社会保険料は「じわじわと2割近くに達する“税”」になっていたのです。

しかもこれらは、給料から強制的に天引きされるため、実感のないまま手取りが減っていきます。

 

なぜ社会保険料が「増税の代替手段」として使われているのか?

社会保険料は“税金ではない”という建前になっています。しかし政府や財務官僚にとっては、次のような理由から“都合の良い財源”なのです。

税率の変更に国会審議が不要(法定上限まで自動)
所得税よりも広く徴収できる(非課税世帯にも課せられる)
社会保障目的とすれば、国民の反発を避けやすい
企業負担分も含まれるため、実態が見えにくい

つまり、「国民の目に見えにくく、反発されにくく、確実に取れる」“隠れた増税ルート”として制度設計されてきたのです。

 

「将来のために払っている」は本当か?

では、私たちが払っている社会保険料は、将来の自分にきちんと戻ってくるのでしょうか?

答えは、非常に不透明です。

年金:現役世代が高齢世代を支える“賦課方式”のため、少子高齢化で減額が不可避
医療保険:医療費の高騰で、自己負担割合や保険料の“さらなる引き上げ”が議論中
介護保険:利用者増に対して給付削減や利用制限が始まっている

つまり、「払う額」は増える一方なのに、「受け取る額」は減る一方。これが社会保険の“逆転構造”です。

 

なぜ「保険料」という名前で人々は納得してしまうのか?

理由は2つあります。

「将来の安心のため」というイメージ操作
 →保険という言葉により、納得させやすい心理効果がある

税とは違うから反発されにくい
 →「増税」ではなく「保険料改定」と言えば、世論の抵抗が少ない

こうして制度設計者たちは、「保険料」という名のもとに事実上の“増税”を繰り返してきたのです。

 

結果、私たちの手取りはどうなったか?

例:年収400万円の会社員

所得税:約6〜8万円
住民税:約15万円
社会保険料:約70万円前後(事業主負担含まず)

→手取りは実質的に300万円を切る水準
→消費税など間接税を含めれば、年間100万円以上を“税+準税”として負担

この現実に気づかず、「なぜ生活が苦しいのか分からない」と感じている人は少なくありません。

タイトルとURLをコピーしました