税金が作るエリートの再就職先—国民不在の政策設計

時事問題
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「あなたの納めた税金は、どこへ行くのか?」

多くの人が、こう考えるでしょう。

「税金は福祉や医療、教育に使われている」
「国を支えるために仕方なく払っている」

しかし、現実にはその一部が“エリート官僚の天下り先を生むため”に使われているという事実を、私たちはどれほど正確に知っているでしょうか?

今回は、「政策設計」と「天下り利権」の密接な関係を掘り下げ、税制が誰のために作られているのかを問い直します。

 

天下りとは「再就職」ではなく「利権の延長」

退官後の官僚が、関連団体・企業・法人などに顧問や役員として再就職する—これが「天下り」です。

特に財務省や経産省などの幹部官僚は、次のような流れで“将来の自分の席”を政策の中に設計します。

退職前に特定業界に有利な税制や補助金制度をつくる
その制度を受ける団体や法人を監督・委託する立場の天下り先にする
退職後、自らが設計した制度の「受益者」側に移る

これは一種の“税金の循環構造”であり、「設計→税金投入→天下り→維持」というループが完成しています。

 

具体例:制度の設計そのものが再就職先を前提としている

▷補助金・助成金制度
財務省や経産省がつくった制度の「調査・評価・執行」を、元官僚が顧問を務める法人や公益財団が“受託”。実際に現場にお金が回る前に、事務費・人件費として税金が流れる。

▷税制の特例・控除制度
難解で複雑な「節税制度」をつくり、それを活用するコンサルや財団に天下る。「専門的な解釈」が必要という理由で、一般国民が利用できない構造に。

▷調査研究・評価事業
年金・医療・消費税の政策効果を検証する委託事業が、“元官僚が所属する”シンクタンクに集中。当然、政府に都合のよい報告書が作られ、制度は“正当化”される。

 

「政策」と「ポスト」が一体化している現実

これらの事例が示すのは、政策は“公共の利益”のためだけには設計されていないということです。

特定のポスト、団体、業界が恩恵を受けるように組み立てられ、その見返りとして、将来の“席”を用意する。

こうして制度は、国民のためではなく、制度を作った人の“再就職のため”に設計されている、それが日本の行政構造の現実です。

なぜ、こうした構造が続いてしまうのか?理由は大きく3つあります。

❶国民が制度の設計過程を知る機会がない
政策が「専門的すぎて難しい」とされ、議論が閉鎖的になる
政策決定過程の“透明化”が実質的に行われていない

❷マスコミが追及しない
記者クラブ制度により、情報源である官庁に“遠慮”する
天下りを報道するのは「事件になったときだけ」

❸制度の恩恵が“自覚しにくい形”で操作されている
税金の支出が間接的・複雑なルートで行われるため、「誰が得しているのか」が分かりづらい

 

これは「税金の私物化」である

税金とは、国民から集めたお金です。

それが、一部のエリートたちの将来の“ポストづくり”に使われているとすれば、これは構造的な背任行為に他なりません。

誰のための制度なのか
誰がその制度を使って得をしているのか
誰が責任を取っているのか

この問いに、政治家も官僚も正面から答えてこなかった。だから、変わらず続いているのです。

 

私たちにできること—“制度の使い道”を見る目を養う

補助金・減税・新制度が出たときは、「誰が一番得をするか?」という視点で見る
その制度を設計した人物、関係団体、天下り先を調べてみる
政治家だけでなく、官僚の“次のポスト”にも注目する

制度の是非を議論するだけでは不十分です。制度の“意図”と“出口”を見抜く力こそ、私たち納税者に必要な武器です。

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