「逮捕は警察だけのもの」ではない?—健全な選挙を守るために知っておきたい市民の権利と責任

時事問題
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選挙の季節になると、駅前や街角で候補者が声を張り上げて演説をしています。

それに対して時折、あまりにも過激な妨害行為や、候補者を威圧するような場面を目にすることがあります。

こうした場面で私たち市民は、ただ黙って見ているしかないのでしょうか?

実は、市民にも「逮捕権」があるのです。

「え? 逮捕って警察しかできないんじゃないの?」と思われた方、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

一般市民にも逮捕権がある

意外に知られていませんが、日本の法律では「現行犯逮捕」に限り、警察官でなくても、誰でも逮捕ができると定められています。

これは、刑事訴訟法第213条・214条に明記されており、「私人逮捕(しじんたいほ)」とも呼ばれています。

 

現行犯とは?

現行犯とは、犯罪を「今まさに行っているところ」または「行った直後」の人のことです。

たとえば:

街頭演説中の候補者に暴行を加えた直後の人

投票所で暴れて職員の業務を妨げている人

候補者のポスターを破って逃げようとしている人

こうした行為を、目の前で「今、まさに」やっている人は「現行犯」です。

 

逮捕はできるが捜査はできない

ここで重要なのは、逮捕はできても捜査はできないという点です。

つまり、一般市民ができるのは「その場で取り押さえて警察に引き渡す」ところまで。

その後の取り調べや証拠収集、身元の確認などはすべて警察や検察の仕事です。

ですから、逮捕したからといって、

スマホを勝手に取り上げて中身を見る

鞄を開けて中を確認する

家まで行って調べる

といった行為は法律違反になります。あくまでも「取り押さえ、警察に引き渡すまで」が限度です。

 

現行犯には令状は不要

警察による通常の逮捕には、裁判所が出す「逮捕状(令状)」が必要です。しかし、現行犯逮捕には逮捕状は要りません。

これは、犯罪がその場で明白であり、逃亡や証拠隠滅の恐れが高いため、迅速な対応が必要とされているからです。

これは警察だけでなく、私人逮捕でも同じです。

その場で目の前で違法行為をしているなら、令状がなくても制止・逮捕が可能なのです。

 

健全な選挙を守るために

選挙の自由と公正を守るのは、政治家や警察だけの責任ではありません。私たち有権者一人ひとりが、それを守る意識を持つことが大切です。

もちろん、実際に逮捕を行うのは慎重であるべきです。状況判断や安全面の配慮も必要ですし、やりすぎは逆にトラブルになります。

しかし、「自分にもその権利がある」ということを知っているだけでも、健全な選挙活動を守る一歩となります。

 

まとめ

✅ 一般市民でも現行犯なら逮捕できる(私人逮捕)

✅ 捜査や取り調べはできない(警察に任せる)

✅ 現行犯逮捕には令状は不要

✅ 健全な選挙を守るためには、知識と良識が必要

選挙の場面で不正や妨害を目撃したとき、私たちが冷静に行動するためには、こうした知識が欠かせません。

健全な民主主義は、私たち一人ひとりの意識と行動から生まれます。

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