「働けど暮らし楽にならず—税と制度が奪う未来

時事問題
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かつての常識:「頑張れば報われる」は今どこに?

戦後から高度成長期にかけての日本では、こうした価値観が根づいていました。

「真面目に働けば生活は良くなる」
「子どもには親より良い暮らしをさせたい」

しかし現在、多くの人が現実を前にため息をついています。

頑張って働いても手取りが増えない
昇給よりも社会保険料の上昇のほうが早い
老後は“自己責任”と言われるばかり
結婚や出産、マイホームが夢のまま終わる

一体、なぜこんな社会になってしまったのでしょうか?

 

働いても豊かになれない理由は、「見えない負担」

表面上の給与明細や所得の変化だけを見ていると、一見それほど大きく状況が変わっていないようにも思えます。

しかし、可処分所得(手取り)に影響を与える“見えないコスト”が年々増え続けているのです。

●社会保険料の増加
健康保険、厚生年金、介護保険などが毎年のように“ジワ上げ”
所得が増えても、保険料が比例して増えるため手取りは横ばい

●消費税の累積負担
所得が上がっても、支出にかかる税が10%に
年収300万円の人でも、年間30万円前後を消費税で取られる計算に

●非正規雇用の拡大と賃金停滞
雇用の「調整弁」として非正規が拡大し、ボーナス・昇給の機会も限られる
同じ仕事をしていても、報酬の差は開く一方

 

「増えた税収」は、どこに使われたのか?

では、社会保険料や消費税の“増収分”は、どのように使われているのでしょうか?

政府は「少子高齢化対策」や「社会保障の安定財源」と説明しています。

しかし実際には…

大企業向けの法人税減税と相殺
高齢者医療や年金の維持に消える(しかもサービスは削減)
国の借金返済や利払いに使われ、将来世代に恩恵はない

つまり、今の若い世代・現役世代は「払い損」になる構造が、制度として組み込まれているのです。

 

中間層が「見えない貧困」に陥る理由

表面的には普通に働き、家庭を持ち、生活していても、家計はギリギリで、貯金もできず、将来が見えない。それが“見えない貧困”です。

可処分所得:税・社会保険料で手取りが目減り
家計支出:物価高・住宅費・教育費で圧迫
貯蓄率:若年層ほど低く、老後不安が増大
精神的圧力:「頑張っても報われない」無力感が蔓延

そしてこれらは、本人の努力不足ではなく、制度的な搾取の結果なのです。

 

制度と税が“未来を奪う”という現実

政府が掲げる「持続可能な社会保障」「全世代型社会保障」などのスローガンは、現実には次のような“逆転構造”を生んでいます。

今、働く若い世代が最も重い負担を背負う
将来も受け取れる保障があるとは限らない
なのに「今も、将来も」安心できる社会とは程遠い

つまり、未来を担う人々から、未来を奪う制度が定着してしまっているのです。

なぜこのような制度設計が続いてきたのでしょうか?

官僚と政治家が短期的な数字合わせ(財政黒字化)を優先
若者の投票率が低く、制度改革への圧力にならない
「増税=責任感」「減税=無責任」という空気が固定化
メディアが政策の“負担部分”を深掘りしない

こうして、「誰が得して、誰が損をしているか」が見えづらい構造が温存されてきました。

 

私たちは、どうすればこの構造を変えられるか?

「働いても楽にならない」のは個人のせいではなく、制度のせいだと認識すること。

政策に対して「誰のための制度か」を問い続けること。

若い世代ほど政治的発言力を高め、選挙・世論で意思表示すること。

税と社会保障の使い道を「自分ごと」として監視する姿勢を持つこと

制度は、“選ばれた誰か”だけのものではありません。生活者一人ひとりの「声」でしか、変えることはできないのです。

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