動画を保存していると、「映像は必要ないので、音声や音楽だけを取り出して聴きたい」ということがあります。
動画から音声だけを取り出せば、ファイルサイズも小さくなり、iTunesなどに登録して音楽と同じように聴くことができます。
今回は、無料の音声編集ソフト「Audacity」を使って、動画から音声を取り出し、さらに聴きやすい音量に調整する方法を紹介します。
1 Audacityで動画から音声を取り出す
Audacityでは、環境が整っていれば動画ファイルを読み込み、その中に含まれている音声だけを取り出すことができます。
Audacityを起動し、対象となる動画ファイルを読み込みます。正常に読み込まれると、画面に音声の波形が表示されます。
この状態ですでに映像部分はなく、音声だけを編集できるようになっています。
必要であれば、前後の不要な部分を削除するなどの編集もここで行えます。
2 「ノーマライズ」で最大音量を調整する
動画から取り出した音声は、そのままでは音量が小さい場合があります。そこでAudacityの「ノーマライズ」という機能を利用します。
まず「Ctrl+A」を押して音声全体を選択し、
「エフェクト」→「音量と圧縮」→「ノーマライズ」
と進みます。
設定画面では、
「DCオフセットを消去」→チェック
「最大振幅をノーマライズ」→チェック
「最大振幅」→「−1.0 dB」
「ステレオチャンネルを個別にノーマライズ」→チェックしない
という設定で基本的には問題ありません。
「最大振幅を−1.0 dBにする」というのは、音声の中で最も大きな部分が−1.0 dBになるように、音声全体を調整するという意味です。
設定したら「プレビュー」で確認し、問題なければ「適用」をクリックします。
3 ノーマライズしても音が小さいことがある
ところが、「−1.0 dBにノーマライズしたのだから十分大きくなっただろう」と思ってiTunesで再生してみると、ほかの曲よりかなり小さく聞こえることがあります。
これは故障や設定ミスとは限りません。
通常の「ノーマライズ」は、音声の中で最も大きな瞬間を基準にして全体を調整します。そのため、一瞬だけ大きな音が含まれている音源では、その部分が上限となり、それ以上全体を大きくできません。
つまり、「最大音量」と「人間が実際に感じる音の大きさ」は必ずしも同じではないということです。
そこで役立つのが「ラウドネスノーマライズ」です。
4 ラウドネスノーマライズを使う
Audacityの
「エフェクト」→「音量と圧縮」→「ラウドネスノーマライズ」
を選択します。
ここでは「知覚的ラウドネス」を選択し、LUFSという単位で音量を指定します。
初期設定では「−23 LUFS」などになっている場合があります。しかし、これは一般的な音楽をiTunesなどで聴く場合には、かなり小さく感じることがあります。
そこで一つの目安として、
−14 LUFS
程度に設定します。
たとえば、
「ノーマライズ対象」→「知覚的ラウドネス」
「変更後」→「−14.0 LUFS」
「ステレオチャンネルを個別にノーマライズ」→チェックしない
という設定です。
−23 LUFSから−14 LUFSに変更すると9 dBの差がありますので、聴いたときの音量はかなり大きくなります。
ただし、音源によって適切な音量は異なります。まずプレビューで確認し、問題がなければ「適用」をクリックするとよいでしょう。
5 編集した音声をエクスポートする
音量の調整が終わったら、完成した音声を書き出します。
Audacityでは、
「ファイル」→「オーディオをエクスポート」
と進み、MP3やWAVなどの形式を選択します。
ここで注意したいのが、「プロジェクトを保存」と「オーディオをエクスポート」の違いです。
「プロジェクトを保存」は、Audacityで後から編集を続けるためのデータを保存するものです。通常は「.aup3」という形式になります。
一方、「オーディオをエクスポート」は、iTunesなど一般的な音楽再生ソフトで聴くための音声ファイルをつくるものです。
したがって、完成した音声をiTunesなどで聴きたい場合は、「オーディオをエクスポート」を選択します。
念のため元の音声を残しておきたい場合は、別のファイル名でエクスポートしておくと安心です。
6 iTunes側でも音量を調整できる
Audacityで音量を整えたあと、iTunes側でも確認しておきたい設定があります。
一つが「サウンドチェック」です。
iTunesの
「編集」→「環境設定」→「再生」→「サウンドチェック」
から設定できます。
サウンドチェックは、曲ごとの音量差を自動的にそろえるための機能です。そのため、Audacityで調整した音量をそのまま比較したい場合は、一度サウンドチェックをOFFにして確認すると分かりやすくなります。
また、特定の曲だけ音量を変えることもできます。
対象となる曲を右クリックして、
「曲の情報」→「オプション」→「音量調整」
と進むと、その曲の再生音量を調整できます。
ただし、この設定は音声ファイルそのものを書き換えているわけではありません。iTunesで再生するときの音量だけを変更しています。
そのため、基本的にはAudacityで音源自体の音量を整え、必要な場合だけiTunes側で微調整するのがよいでしょう。
7 最大音量ではなく「聴こえる音量」を整える
今回の作業で特に重要なのは、「最大音量」と「人間が感じる音量」は違うという点です。
単純なノーマライズでは最大振幅を基準に調整しますが、それだけでは曲全体が十分な音量に感じられない場合があります。
そのような場合には、知覚的な音量を基準とするラウドネスノーマライズが役立ちます。
動画から音声を取り出してiTunesなどで聴くのであれば、
動画をAudacityで読み込む → 必要な部分を編集する → ラウドネスを調整する → 音声ファイルとしてエクスポートする → iTunesで確認する
という流れを覚えておけば、比較的簡単に聴きやすい音声ファイルをつくることができます。
特に、ほかの音楽と一緒にiTunesで聴く場合は、単に波形の最大値を大きくするだけでなく、実際に耳で感じる音量を確認しながら調整することが大切です。
