第9回 化粧品にも衣類にも?—日用品に潜むPFASを見分ける方法

健康問題
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「化粧品にも入っているの?」
「撥水ジャケットも危ないの?」
「まさか、歯磨き粉やマスカラにまで……?」

PFAS(有機フッ素化合物)というと、水や空気、食べ物を通じて体に入るイメージが強いかもしれません。

しかし実は、私たちが日常的に手に取り、肌に塗り、身にまとう製品そのものにもPFASは潜んでいるのです。

今回は、身の回りにある“見えないPFAS”を見分ける方法と、より安全な選択をするためのヒントをお伝えします。

 

肌に直接ふれる化粧品になぜPFASが?

化粧品は顔や目のまわり、唇など、皮膚の中でも特に敏感な部位に使うものです。

ところが近年、アメリカやヨーロッパの調査で、ファンデーションやマスカラ、リップグロスなどの中にPFASが含まれている製品が多数見つかったと報告されました。

PFASが化粧品に使われる理由は、「撥水性・耐久性・なめらかさ」です。

汗や水に強いウォータープルーフ処方を実現するために、フッ素化合物が添加されるのです。

つまり、“落ちにくい” “崩れにくい”という機能の裏側に、体に蓄積する化学物質がある可能性があるということです。

しかも化粧品は、塗るだけでなく、口に入ったり、目に入ったり、吸い込んだりと、想定以上に体内に取り込まれるリスクがあるのです。

 

衣類や日用品にも“見えないフッ素”が潜んでいる

化粧品以外にも、PFASは次のような製品に使われていることがあります。

アウトドアウェアやスポーツ衣料(撥水・防汚加工)
雨傘やテント、防水バッグ
カーペットやソファの防汚コーティング
ベビーカーやチャイルドシートの表面加工
キッチンペーパーやクッキングシート
歯磨き粉(研磨剤やつや出し剤として)
ワックス、コーティング剤、洗剤などの家庭用ケミカル製品

これらの製品に共通するのは、「水や汚れをはじく」機能です。
その多くに、PFASを含む“フッ素系樹脂”や“フッ素加工剤”が使われていることがあります。

とくに気をつけたいのが、熱や摩擦で成分が剥がれ、空気中に拡散したり、肌に付着したりするリスクです。

 

PFASを見分けるにはどうすればいい?

完全な見分け方は存在しませんが、次のようなポイントを意識することで、PFASを含む可能性の高い製品を避けることができます。

✅ 化粧品の場合

成分表示に以下のような名称がある場合は注意:
 「PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)」「Perfluoro-」「Polyfluoro-」

「撥水性」「ウォータープルーフ」「ロングラスティング」「皮脂崩れ防止」などの機能が強調されている製品は要確認

海外製の安価なブランドや、成分不明の商品はとくに注意

一部のオーガニックブランドは“PFASフリー”を明記していることがある

✅ 衣類・日用品の場合

「撥水」「防汚」「防油」などの加工表示がある衣類や布製品は注意

「テフロン加工」「フッ素樹脂使用」などのタグ表記はPFAS使用の可能性大

自然素材(綿・麻など)+未加工の製品を選ぶと安心
フッ素不使用を明記したメーカーや製品を積極的に選ぶ

「知らないうちに使っていた」を減らすために

私たちは普段、商品の“機能性”ばかりを重視して選びがちです。

「汗をかいても崩れない」
「汚れがつきにくい」
「においをはじく、撥水する」

これらの利便性が、健康への代償をともなっているかもしれないという事実に、もっと目を向ける必要があります。

企業が情報を公開しないなら、私たち自身が「知ろうとする」ことから始めるしかありません。

 

PFASフリーを選ぶという意思表示

最近では、PFAS問題を意識したブランドも少しずつ出てきています。

「ノンフッ素」「PFASフリー」「フッ素不使用」と明記された商品は、まだ多くはありませんが、確実に増えています。

また、市民団体や海外の環境NGOが作成した「PFASフリー製品リスト」なども参考になります。
(※日本語情報が少ないのが現状ですが、英語では“PFAS-free brands”で検索可能)

選ぶことは意思表示。

「健康を大切にする人が増えている」と企業が感じれば、製品の中身は変わっていきます。

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