投票率が低いほど当選しやすい?—選挙の裏にある静かな戦略

時事問題
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なぜ投票率が低いと「一部の候補」に有利なのか?

選挙は「民意を反映する場」と言われますが、その民意がどれほど正確に反映されているのかを考えたことはあるでしょうか? 

実は、投票率が下がれば下がるほど、ある特定の候補者にとっては“有利”になるという現実があります。

なぜなら、固定的な支持基盤――いわゆる「組織票」を持つ候補者にとっては、少ない投票数でも確実に票を得られる状況のほうが計算しやすく、戦いやすいからです。

つまり、一般市民の多くが投票に行かなければ行かないほど、「確実に投票してくれる」支持団体の力が選挙結果を左右する割合が大きくなってしまうのです。

投票率が50%なら、半分の人が選挙に参加していないということ。その結果、全体の数%にすぎない組織の票が、大きな影響力を持つことになります。

 

静かに進行する「無関心戦略」

中には、こうした構造をあえて利用する政治家や政党も存在します。投票率が低い方が勝ちやすいと分かっているからこそ、表立って「投票に行きましょう」とは呼びかけない。

むしろ市民が政治に無関心でいてくれたほうが、自分たちにとって都合がいいのです。

この“無関心戦略”は、実に静かで巧妙です。大きな声で不正をするわけではない。選挙戦も控えめに行い、変に目立たず、票を固めて当選を狙う。

市民が政治を遠い世界の出来事と思っている限り、この戦略は有効であり続けます。

こうして、本来は国民全体の意思で選ばれるべき議員が、わずかな組織票によって“当選させられる”という現象が起きているのです。

 

投票率が高まると何が変わるのか?

逆に、投票率が上がるとどうなるのでしょうか? それは、組織票の影響力が相対的に薄まり、“本来の民意”が選挙に反映されやすくなることを意味します。

無党派層や若者、女性、子育て世代、高齢者以外の現役世代など、日常生活のなかで政治を「遠い」と感じている人たちが投票に参加すれば、議員もそうした層の声を無視できなくなります。

たとえば、若年層の投票率が上がれば、奨学金制度の改善や教育支援、若者の雇用対策などの政策が重視されるようになります。

逆に、その層が動かなければ「票にならない」と見なされ、政治家にとっては優先度の低い課題となってしまいます。

つまり、投票率が上がれば上がるほど、“一部の戦略”では通用しない、真に開かれた政治に近づいていくのです。

 

私たちが知らぬ間に「支配」されないために

政治家の中には、あえて市民を政治から遠ざけようとする者がいます。難しい言葉でごまかし、スキャンダルの報道があっても「説明責任」を果たさず、関心を持った人々が“あきれる”ように仕向ける。

それも、投票率を下げるための、ある種の戦術かもしれません。

しかし、その沈黙の代償を支払うのは、私たち一人ひとりです。関心を失い、投票を放棄したとき、本当に大切なことが“誰かの都合”によって勝手に決められてしまうのです。

だからこそ、私たちは自らの意思で投票所に足を運ぶ必要があります。静かな戦略に、静かな抵抗を。沈黙に、行動で応えるのです。

 

民主主義は行動する人たちの手に宿る

「誰がやっても同じ」と思うのは簡単です。しかし、それは“誰がやっても変わらない状況”を容認することでもあります。

私たちには、変える力があります。変えられるということを証明する手段が、まさに「投票」なのです。

戦略の外側から見ているだけでは、いつまで経っても社会は変わりません。

投票率が低いほど勝てる候補者がいるという事実を知った今、私たちは“選ばれる側”ではなく、“選ぶ側”として、自らの権利と責任を果たす必要があるのではないでしょうか。

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